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2015年1月27日

地域でいろいろ! ご当地もち料理を調べてみました!

もちといえば、お正月に食べる雑煮が代表格ですが、ほかにもバラエティ豊かなもち料理があるそうなので、年間60回以上もちつきを行っている一関に取材に行ってきました。

「一関では年間60回以上も、もちつきをするです~。杵は1本の棒状で、にぎるところが細くなっているです~」(こくさん)
「一関では年間60回以上も、もちつきをするです~。杵は1本の棒状で、にぎるところが細くなっているです~」(こくさん)
日本の行事食として親しまれてきたもち

もちは縄文時代の後期に稲作の伝来とともに東南アジアから伝わったといわれ、『ハレの日』の行事には欠かせない縁起物の食材でした。
お正月にもちが食べられるようになったきっかけは、平安時代に宮中で健康と長寿を祈願して行われた正月行事『歯固めの儀』で、年神にお供えした『鏡もち』を食べたことが由来とされています。
いまでもお正月をはじめ桃の節句や端午の節句、七夕やお彼岸などにお供えして食べるもちは、日本人にとっての行事食として親しまれています。

年間60日以上もちを食べる一関

「一関では『もち本膳』というものがあって、食べ方も決まっているです~」(こくさん)
「一関では『もち本膳』というものがあって、食べ方も決まっているです~」(こくさん)

とくに、岩手県一関の人たちはよくもちを食べるそうです。お正月や節句、七夕、お彼岸などはもちろんのこと、農作業の区切り、結婚式、出産祝い、お食い初め、初誕生日、厄払い、棟上げ、お葬式など、年中行事から人生行事、冠婚葬祭までうれしい時も悲しい時も、その都度もちをついて食べる習慣があります。その回数は年間60日以上。こうしたもちつきに関する行事が記された『もち暦(れき)』なるものが存在するほどです。
さらに一関のもち食文化の特色は、『もち本膳(ほんぜん)』というおもてなしの膳があること。膳にはあんこもち、ごまやずんだなどの料理もち、雑煮、大根おろし、たくあんの5品が並べられ、食べ方にもルールがあります。まず大根おろしをひと口、あんこもちから食べ始め、締めは雑煮で。大根おろしとたくあんは口直しとして合間に食べていいのですが、たくあんは1枚だけ最後まで残しておくこと。空になったもちのお碗に“膳の湯”を注いでたくあんで拭い、そのお湯を飲んで食べ納めます。
こうした伝統を守る一方で、もち食は進化が続いており、一関で食べられている味のバリエーションは日本一を誇るおよそ300種類。あんこ、ごま、くるみ、きな粉、ずんだ、大根おろし、ショウガなど昔からの食べ方に加えて、洋風やスイーツ風などが次々に登場し、一関のあちらこちらの飲食店で提供されています。
一関では、ほかにも『全国ご当地もちサミット』の開催や、学校給食にもちを提供するなど、もち食文化の継承や地域のもち米増産と消費拡大のために多彩な活動を展開しており、2013年には、食料自給率の向上に寄与する優れた取り組みを表彰する『フード・アクション・ニッポン アワード2013』において食文化賞を受賞しています。

アイデアいっぱいのご当地もち料理が!

「どんなおもち料理があるのか、楽しみです~」(こくさん)
「どんなおもち料理があるのか、楽しみです~」(こくさん)

全国のご当地もちを集め、模擬店でもち料理を提供する『全国ご当地もちサミットin 一関』が、去る2014年10月18~19日に市立総合体育館(ユードーム)特設会場で開催されました。東日本大震災のあった2011年に市やもち食文化継承団体、JA、企業などが実行委員会を立ち上げ、翌年から開催。3年目を迎える今回は全国から24のご当地もち料理が登場しました。アレンジ雑煮からスイーツまで個性豊かなメニューが並び、どの店舗も来場者で長蛇の列となっていました。

もちサミットの実行委員長・佐藤航さん
もちサミットの実行委員長・佐藤航さん

もちサミットの実行委員長であり、江戸時代から続く由緒ある蔵元『世嬉の一(せきのいち)酒造』の4代目社長でもある佐藤航さんも会場を飛び回っていました。イベントへの意気込みをお聞きすると「農家の人たちが伝えてきてくれたおかげで、一関はもち食文化が根づいていますが、若い人たちや子どもたちにも受け継いでいかなければなりません。伝統文化を継承しながら、一関を“もちの町”として全国にアピールして、もっともっと元気にしていきたいと思っています」と熱く語ってくれました。

それでは、アイデアいっぱいのもち料理の一部をご紹介します。

「いろいろな味が楽しめるです~」(こくさん)
「いろいろな味が楽しめるです~」(こくさん)

■げいび三色餅+1
(岩手県一関市)

あんこ、ずんだ、ショウガと伝統的な3つの味に、斬新なトマト味のもちを加えました。地域のトマト農家で規格外となったトマトなどを有効活用しています。じっくり煮込んでトマトの酸味と甘みを引き出したもち料理です。

もちを揚げることで、サクッとした食感に
もちを揚げることで、サクッとした食感に

■もち天ぞう煮
(山形県米沢市)

もちを天ぷらにしているので、外はサクサク、中はふんわり。米沢牛の牛すじも入った、おいしいダシでいただきます。山形県内で開催された平成鍋合戦で第1位、Y-1グルメグランプリで2年連続優勝という実績があります。

「もち米も具材も地元産です~」(こくさん)
「もち米も具材も地元産です~」(こくさん)

■茶わんもち
(北海道名寄市)

北海道名寄産のもち米を使った揚げもちが入った茶わん蒸し。とろりとした茶わん蒸しにもちの食感で変化が楽しめます。具材のホタテ、生しいたけ、トウモロコシは北海道産で、地元食材を活かしたメニューです。

もちはスイーツでも大活躍
もちはスイーツでも大活躍

■モチぷりん
(宮城県栗原市)

やわらかなプリンと生クリームをシート状にしたもちで包んだ、ふんわりもちもち独特の食感が楽しめるスイーツです。まん中に栗あんを入れて、味のアクセントに。小さなシュークリームをトッピングしました。

「黄金色のおもちと桜エビ、長ネギがカラフルです~」(こくさん)
「黄金色のおもちと桜エビ、長ネギがカラフルです~」(こくさん)

■黄金ねぎもち
(岩手県一関市)

岩手の特産である甘みの強い「南部一郎かぼちゃ」をペースト状にして、もちに練り込んでつき直すため、きれいな黄金色のもちに仕上がります。甘辛のタレと桜エビ、長ネギのトッピングで絶妙な味わいです。

新たなアイデアでもちをもっと食べよう!

取材をしてみて、いろいろ工夫しながら季節を問わずにもっともちを食べて、国産のもち米消費に貢献したいと思いました。
若い世代を中心に、もちはお正月しか食べないという人も多いかもしれませんが、いまは保存性の高い包装もちがいつでも手に入り、一年中おいしく食べられます。今回紹介したもち料理をヒントに、焼いたり煮たり揚げたり、洋風や中華風のソースで味つけしてみる、スイーツにアレンジするなど、これを機会にオリジナルもち料理にチャレンジしてみませんか?

(Mogu・Maga編集部)
取材協力:ご当地もちサミット実行委員会世嬉の一酒造