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おいしい国産情報が探せる・見つかる

日本の「おいしい!」をさまざまな切り口でお届けしていきます。

11月11日

「国産」に精通する4人のFANバサダーが順番に、おいしい国産情報を紹介しています。

~伊豆の棚田へ稲刈りツアー ~
「物語」は農業体験で生まれる

伊豆半島の西端(せいたん)、静岡県松崎町(まつざきちょう)へ稲刈りツアーに行ってきました。
40年ほど前に道路が開通するまでは、「伊豆の秘境」と呼ばれた石部(いしぶ)の集落。
古くから半農(はんのう)半漁(はんぎょ)が営まれ、駿河(するが)湾(わん)に向かって370枚の田んぼが連なります。
「耕して天に至る」。美しいの一言では片づけられない、これが人間の仕事なんだと見る者を圧倒する力を持った景色です。
荒廃していた時期もありましたが、15年ほど前から保存会を作って復活させ、今では町内外や関東から91組の棚田オーナーが参加しています。

静岡県松崎町の棚田風景
静岡県松崎町の棚田風景

棚田を背景にツアー参加者の皆さんと
棚田を背景にツアー参加者の皆さんと

10月初め、私の友人知人13人のツアー参加者と黄金色に輝く田に入り、稲をつかんでざくざくと鎌で刈り、竹や木で稲木を組んでハサ干しし、カエルやカマキリやムカデに大騒ぎし、稲でチクチク腕をかゆくさせ、保存会のおかあさん達のひじきのおにぎりや川のりコロッケの美味しさに感動し、収穫の秋を五感で体験しました。

生産量日本一を誇る「桜(さくら)葉(ば)
生産量日本一を誇る「桜(さくら)葉(ば)」

松崎町は、生産量日本一を誇る「桜(さくら)葉(ば)」の産地でもあります。
桜葉畑や塩漬け工場の見学や、伊豆の地魚や揚げたてさつま揚げを堪能し、2日間でみんなすっかり松崎町のファンになり、バスが町を出るときには淋しくなるほどでした。
帰る頃ちょうど雨が降り出したので、車窓を眺めながら昨日自分達が刈ってハサ干しした稲のことを思いました。
せっかく干した稲は、みんなで組んだ稲木は大丈夫だろうか・・・。
滞在型の農業体験ツアーとは、田舎に親戚を持つようなものです。自ら関わった棚田はもはや自分の一部になるのです。現地の空気を肌で感じ、体感したことで、その土地の問題が「じぶんごと」になるのです。
仲間達もこれからきっと伊豆に何かのニュースがあるたびにあの棚田を思い出すことでしょう。

ひじきのおにぎり
ひじきのおにぎり

農産物に限らず、どんな商品にも「物語」が必要な時代と言われますが、自分の手と足と五感で農業体験をした旅人は、物語を個々で作ります。そうなると田舎の親戚のように関係は継続します。都市と農村が長期につながるグリーンツーリズムにおいてまさに「サステイナブル(持続可能な)ツーリズム」の要素が大切だと思いました。

今月のFANバサダー
小谷 あゆみ

兵庫県生まれ、高知県育ち。
関西大学文学部卒業。石川テレビを経てフリーアナウンサー/農業ジャーナリスト。現在、NHKEテレ介護番組司会。野菜を作るアナウンサー「ベジアナ」として農ある暮らしの豊かさを提唱。
「1億総プチ農家」を掲げて講演活動。日本じゅうの農山村と食べものを取材。
農林水産省 食料農業農村政策審議会/部会委員