日本の「おいしい!」をさまざまな切り口でお届けしていきます。

2014年6月27日

食の学園祭!? 「大学は美味しい!!」フェアに行ってきました!

5月28日~6月3日に新宿高島屋で開催された、全国の大学の研究開発で生まれた美味しい食品が一堂に集まる「大学は美味しい!!」フェアを取材してきました。

「おいしそうなものがいっぱいです~」(こくさん)
「おいしそうなものがいっぱいです~」(こくさん)

地元の名産品や自慢の食材を新しい視点で製品化したもの、研究過程で生まれたものを応用するなど、教授と学生たちが開発に関わった“大学ブランド食品”を紹介する「大学は美味しい!!」フェア。「論文の代わりに製品で“食”の研究成果を伝える」をテーマに「食の学園祭」として人気を博しているイベントで、7回目を迎える今年は全国から38の国公私立大学が参加しています。

東京六大学が競演する「六大学コラボ定食」!

「プロジェクト88」理事長の高橋菜里さん
「プロジェクト88」理事長の高橋菜里さん

まずは「大学は美味しい!!」フェアを主催している「プロジェクト88」理事長の高橋菜里さんにお話をうかがいました。

「今回のイチオシ商品は「六大学コラボ定食」です。東京六大学の研究成果が一度に味わえる、夢のコラボレーションが実現しました。それぞれの大学のメイン商品を組み合わせてどんなメニューができるか、あれこれと試行錯誤を繰り返した結果、素材のよさを引き立てるシンプルなものになりました。ジェラートの上にテンペ(大豆などを使用した発酵食品)をふりかける・・・など、意外なマッチングが発見でしたね」

東京六大学のコラボ定食
東京六大学のコラボ定食

定食のおかずは慶應義塾大学の「熟成赤城和牛ステーキ」。
旨味の数値化に成功した味覚センサーにより高い旨味を実現した熟成肉です。
主食は早稲田大学の「奇跡の早稲田米物語」。玄米の栄養素を逃がさず、しかも玄米特有のにおいやえぐ味を減らした独自の加工が特長です。

左:熟成赤城和牛(慶應義塾大学)/右:奇跡の早稲田米物語(早稲田大学)
左:熟成赤城和牛(慶應義塾大学)/右:奇跡の早稲田米物語(早稲田大学)

左:バリ勝男クン(法政大学)/右:伊豆大島産シーパイン(東京大学)
左:バリ勝男クン(法政大学)/右:伊豆大島産シーパイン(東京大学)

左:クリームチーズジェラート(立教大学)/右:五穀米のテンペ(明治大学)
左:クリームチーズジェラート(立教大学)/右:五穀米のテンペ(明治大学)

デザートは、ワインに合うことがコンセプトの立教大学の「クリームチーズジェラート」に、明治大学の「五穀米のテンペ」をトッピング。五穀米で栄養バランスをよくし、テンペにありがちな臭みを改良しています。
この六大学それぞれの商品の競演で、美味しい定食が完成しました。いろいろな大学の研究がコラボする商品が生まれるのも、「大学は美味しい!!」フェアの楽しみのひとつですね。

「サバだしラーメン」で地元・石巻を元気に!

石巻専修大学 石原慎士教授
石巻専修大学 石原慎士教授

石巻専修大学のブースでは、「サバだしラーメン」の元気なかけ声が聞こえてきます。経営学部の石原ゼミのみなさんです。石原慎士教授に商品について説明していただきました。

「石巻は東日本大震災後に生じた津波で沿岸部の地域が被災し、とくに水産業界は全滅でした。そこで私たちは大学の使命として、震災から2ヵ月後に地域産業の復興をめざすフィールドワークを始めることにしました。石巻の飯野川地区は、昔からサバのだしやサバ節を使う食文化があり、それに着目したのが『サバだしラーメン』です。麺は、100%宮城県産の小麦を原料に高温で焼いたサバの骨の粉を配合したもの、スープは水産加工会社から出る新鮮なサバのあら(頭部・中骨)でだしをとった風味豊かであっさり系。大学と企業、生産者が共同で開発しました。震災からわずか8ヵ月後の2011年11月に地元商店街の食堂で提供を始め、2013年9月には家庭向けも商品化しました」

サバだしラーメン
サバだしラーメン

味はというと、透き通ったスープはあっさりしていて、サバ特有の臭みを感じさせない風味と、凝縮された旨味のあるコクが特長。この味でいよいよ全国展開です。

「石巻は、震災後に失われてしまった販路をいかにして取り戻すかが課題です。販路が戻らなければ、本当の意味での地域産業の復興にはならないのです」
と石原教授は力強く語ってくださいました。

それでは、学生たちにもひと言ずつ話を聞いてみましょう。

「学生さんが一生懸命、商品の説明を してたです~」(こくさん)
「学生さんが一生懸命、商品の説明を してたです~」(こくさん)

「震災の時はまだ2年生でしたが、地域連携のこのプロジェクトが魅力で石原ゼミに入りました。開発会議や試作制作、試食会を地元企業の人と一緒に繰り返しました。いかにサバの臭みをなくすかで苦労しました」
(早坂駿輝さん/4年生)

「地元の食堂と一緒になって石巻を盛り上げる心の通った取り組みなので、ぜひ全国的に有名になってほしいです。いま地域活性化の新商品も開発中です」
(高橋健介さん/3年生)

「イベントは初体験なので緊張しています。先輩たちがやってきたことをしっかり後輩に受け継いでいこうと思っています」
(伊藤大亮さん/2年生)

石原教授と学生たちからは、石巻復興への熱い思いがひしひしと伝わってきました。この「サバだしラーメン」のプロジェクトは、まさに「産学連携」「地域産業活性化」「被災地復興」すべてのモデルケースと言えるのではないでしょうか。

アレルギーのある子どもたちへ愛あるスイーツ!

左から「いちごうさぎ」、「まっちゃケロリン」、「マンゴーにゃんこ」の3種類の「米粉deあにまる」
左から「いちごうさぎ」、「まっちゃケロリン」、「マンゴーにゃんこ」の3種類の「米粉deあにまる」

次は東京家政大学のブースにおじゃましました。

本物の洋菓子店のようなショーケースに、カラフルなスイーツが並びます。学生たちが取り組む「白藤プロジェクト」は毎年このフェアに参加しているそうですが、今年のイチオシ商品は「米粉deあにまる」。卵・小麦・乳製品はもとより、大豆のアレルギー物質も含まない、見た目もかわいいスイーツです。

サブリーダーの樋口真彩さん
サブリーダーの樋口真彩さん

サブリーダーの樋口真彩さんにお話をうかがいました。

「食物アレルギーをもつ子どもたちにもお菓子を美味しく笑顔で食べてもらいたい…という思いから、卵・小麦・乳製品不使用の米粉のシュークレープを2011年に開発しました。アレルギー材料を使わないお菓子のニーズが高いことを実感して、その後も商品化を続けています。今年は、さらに大豆も使わないもの、形や食感など子どもたちにもっと喜んでもらえるものをコンセプトに、まず大学近隣の幼稚園や保育園など40施設にアンケートを実施しました。
どんな洋菓子が食べたいかを尋ねたり、どんな形がいいか絵を描いてもらったり。子どもたちはふわふわのスポンジやサクサクしたパイ、なめらかなクリーム、かわいいデザインなどを望んでいるのが分かりました。それを叶えてあげたい…。ここからが私たちの挑戦の始まりでした。
子どもたちの夢を叶えてあげたいけれど、本当にできるのか。アレルギー材料を使わないさまざまな代替食材で試作を繰り返し、それを組み合わせたトライフル(スポンジやクリームなど複数の物を層状に重ねたお菓子)が完成したのは、フェア開催の2ヵ月前です」

東京家政大学のブース
東京家政大学のブース

カップの一番下はジャガイモを使ったパイ風生地、スポンジは米粉とコーンスターチ、ライスミルクを使ったカスタード風クリーム、米粉のクッキーという組み合わせです。味はイチゴ、マンゴー、抹茶の3種類。動物クッキーをあしらって、かわいらしい仕上がりになっています。
「我が子にケーキを食べさせてあげたいと思う親の希望を叶えてあげることもできました。笑顔で食べる子どもたちと、それを笑顔で見守る親御さんの姿が目に浮かびます」と樋口さんも嬉しそうに話してくれました。
学生たちが米作りから携わっている米粉を使った新しい食品や食物アレルギーを持つ方へ向けた食品の開発、食育イベントなど、「白藤プロジェクト」の挑戦はこれからも続きます。

日本の大学のブランド力を発信!

どの大学のブースを見ても地域、企業などと連携しながら研究・開発した商品ばかり。商品の背景を聞きながら美味しさを楽しめるのが、このフェアの魅力でしょう。
ずっとフェアに関わってきた高橋さんも「震災以降、大学と地域の連携による『食』を通した地域活性化の動きが多くなっています。また、近年は食に関わる学部だけではなく工学部や経済学部、観光学部などの違う視点での開発もあって面白いですね。このフェアをいずれ全国各地で開催し、大学が中心となったブランド食品をもっと広く発信していきたいと思っています」と語ります。
来年はどんな商品がどんな背景から生まれてくるのでしょうか。毎年足を運びたくなるフェアでした。
(Mogu・Maga編集部 丸山)