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2015年12月17日

『フード・アクション・ニッポン アワード2015』 表彰式&交流会&展示会に行ってきました!

第7回『フード・アクション・ニッポン アワード2015』の表彰式と、交流会、展示会を取材してきました。

受賞された方々は皆さん、晴れやかな表情でした。おめでとうございます!
受賞された方々は皆さん、晴れやかな表情でした。おめでとうございます!

優れた取り組みを表彰し、全国に発信

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『フード・アクション・ニッポン アワード』は、国産農林水産物の消費拡大に寄与する事業者、団体などの優れた取り組みを表彰し、全国に発信することによって、さらなる取り組みを促進することを目的とした制度です。開催7回目となる今年度は、全国各地から865件もの応募がありました。

厳粛な雰囲気のなかで表彰式が始まろうとしています
厳粛な雰囲気のなかで表彰式が始まろうとしています

さっそく表彰式の取材に行ってきました。
会場は東京・池袋のホテルメトロポリタン。場内に入ると、胸章をつけた受賞者の方々が緊張の面持ちで席に座り、開会を待っています。
今回のアワードでは、商品部門(農林水産業分野・食品産業分野)、販売活動部門、食文化・普及啓発部門、研究開発・新技術部門のそれぞれから最優秀賞・優秀賞が選ばれ、表彰されます。そして、すべての応募の中から最も優れた取り組みに、栄えある大賞が贈られます。
また、特別賞として『食べて応援しよう!賞』と『審査委員特別賞』に加えて、今回から訪日外国人に向けた国産農林水産物の消費に貢献する商品や取り組みを対象とする『インバウンド賞』が新設されました。

開会のあいさつをされた小泉武夫実行委員長
開会のあいさつをされた小泉武夫実行委員長

まずは開会のあいさつとして、小泉武夫実行委員長が「年々、優れた取り組みが増えていると感じています。地方創生の時代、農林水産業に力を入れていく時代に、豊かな日本にするためには、自分たちでつくって自分たちで食べることです。本日の受賞者の方々の素晴らしい取り組みが力となって、おいしい日本の未来をつくってくれると期待しています」と述べられました。

赤池学審査委員長から総評をいただきました
赤池学審査委員長から総評をいただきました

次に総評として、赤池学審査委員長より「工業に工芸品があるように、農業にも農芸品があっていいと常々思っています。今年度のアワードは、クリエイティブとテクノロジーを注ぎ込んだ優れた農芸品がたくさんありました。とくに、地域で地場産品のブランド力を高める展開をしていること、大手企業が自給率向上に貢献する公益性の高い実践をしていることを高く評価しています」とのお言葉がありました。

森山農林水産大臣がご祝辞を述べられました
森山農林水産大臣がご祝辞を述べられました

そして表彰式の最後には、森山農林水産大臣が駆けつけ、「国産農林水産物の消費拡大への取り組みが全国に広がっていることを心強く感じます。現場の力があってこそ、安全で高品質な農林水産物や食品が生産できるのです。今後も国産農林水産物の良さや日本の農林水産業・食品製造業の技術力の高さなどをアピールし、地方創生につなげていってほしいと思います」とご祝辞を述べられました。受賞者の皆さんはきっと大きな励みになったのではないでしょうか。

それでは、大賞と各部門最優秀賞の方々の取り組みをご紹介しましょう。

◎大賞
自然飼育の放牧にこだわったJASオーガニック黒豚に認証された「薩摩黒豚」
受賞者:有限会社三清屋

JASオーガニック黒豚のおいしさを全国へ、世界へ発信して行くそうです
JASオーガニック黒豚のおいしさを全国へ、世界へ発信して行くそうです

三清屋は鹿児島県大隅半島の山林の広大な敷地で薩摩黒豚を生産・出荷しています。山間部での放し飼いや有機飼料・循環型農業を組み込んだスタイルが評価されて、大賞を受賞しました。手間ひまかけて育てた黒豚は、肉質がきめ細かく、さらっととろける脂身は甘みと旨みで胃もたれしません。一度食べたらリピーターになる人が多いそうです。

森山大臣と記念撮影する三清屋の田中社長と奥様
森山大臣と記念撮影する三清屋の田中社長と奥様

<コメント>
「“21世紀へ羽ばたく子どもたちに向けて安心・安全な未来をつくる食べ物を”という想いで養豚をはじめました。生産・出荷量を増やして地域経済に貢献していきたいし、販路開拓にも力を入れていきます」

◎商品部門(農林水産業分野) 最優秀賞
「みかん魚」開発プロジェクト
受賞者:株式会社宇和島プロジェクト

ミカンを使って開発したオリジナルのエサで育った「みかん魚」は、食べやすい味わいで大好評
ミカンを使って開発したオリジナルのエサで育った「みかん魚」は、食べやすい味わいで大好評

ミカンと養殖魚が特産品の愛媛県で生まれた「みかん魚」。県の水産研究センター、地元の養殖業者と宇和島プロジェクトが共同で開発した産官学連携の取り組みです。「みかんブリ」「みかん鯛」は、魚臭さの低減、柑橘系の風味で食べやすいなど、魚が苦手だった女性や子どもからも好評で、魚離れに歯止めをかけられる可能性があります。また、地元の農業と漁業を同時に活性化させることにもなります。現在、「宇和島サーモン」の開発も進めています。

宇和島プロジェクトの木和田社長
宇和島プロジェクトの木和田社長

<コメント>
「産官学連携であること、海の幸と山の幸を活かせること、魚嫌いを食い止められることが画期的です。今後も地元の生産者とともに、もっといい商品をつくっていきます」

◎商品部門(食品産業分野) 最優秀賞
リサイクルから生まれた菜種油「ヤッタネ!菜ッタネ!」
受賞者:株式会社ななくさ農園

国産で、なおかつひとつの地域でつくった混じりけのない菜種油
国産で、なおかつひとつの地域でつくった混じりけのない菜種油

鹿児島県曽於郡大崎町は、一般廃棄物を資源として再利用するために分別回収を徹底し、2006年以来8年連続でリサイクル率日本一を誇っています。リサイクルでできた有機堆肥を畑にまき、農薬・化学肥料未使用で有機野菜と菜の花を栽培。その菜の花からできたのが菜種油「ヤッタネ!菜ッタネ!」です。資源循環のしくみ「菜の花エコプロジェクト」により、地域の特産加工品など、新たな商品も開発しています。

株式会社ななくさ農園の宮地社長
株式会社ななくさ農園の宮地社長

<コメント>
「町民の皆さんの協力があってこそ、ここまで実現できました。今後は有機野菜を中心に販路を広げて、安定的に運営できるよう、地元の力を合わせて頑張っていきます」

◎販売活動部門 最優秀賞
有機栽培に取り組む産地のネットワーク九州協働物流の取り組み
受賞者:西日本有機農業生産協同組合 パルシステム生活協同組合連合会

集荷から納品まで一貫したコールドチェーンなので、商品の品質や鮮度についても安心できます
集荷から納品まで一貫したコールドチェーンなので、商品の品質や鮮度についても安心できます

九州で環境に配慮した農産物を出荷する小ロットの生産者たちの物流改善を目的に、関東の流通販売4団体(パルシステム・生活クラブ生協・大地を守る会・らでぃっしゅぼーや)がライバルの垣根を越えて協力し、九州から関東に向けた青果物の相積みを行う共同運行便を開始。丸善グループが物流を運営し、九州〜東京の輸送時間の短縮と、品質や鮮度の維持を実現した新しい物流システムが誕生しました。

パルシステム生活協同組合連合会の商品開発本部 産直部長 島田さん
パルシステム生活協同組合連合会の商品開発本部 産直部長 島田さん

<コメント>
「こだわりの農産物に取り組む生産者を支援するために、新たな物流ネットワークをつくりました。今後も私たち物流団体ができることを各地で取り組んでいきます」

◎食文化・普及啓発部門 最優秀賞
ミソガール発、手作りの即席味噌汁「みそまる」と味噌普及啓発活動
受賞者:株式会社トランタンネットワーク新聞社 みそまる普及委員会

「みそまる」は、今年5月のミラノ万博の日本館イベント広場でも出展し、人気を博したそうです
「みそまる」は、今年5月のミラノ万博の日本館イベント広場でも出展し、人気を博したそうです

味噌・だし・具材を混ぜて団子状に丸めた、手作りの即席味噌汁のもと「みそまる」を開発したのは、自らを「ミソガール」と名乗る藤本智子さん。器に入れてお湯を注ぐだけで1杯分の味噌汁が完成する手軽さと、まん丸のかわいい見た目、味のバリエーションも豊富なことから大反響となりました。現在、さまざまな協力企業とともに、味噌の新しい消費スタイルを提唱し味噌の魅力を国内外に発信しています。

「ミソガール」こと藤本智子さん
「ミソガール」こと藤本智子さん

<コメント>
「日本の伝統食でもある味噌汁をもっと食べてほしくて開発しました。各地で地元の味噌と地元の食材を使った「ご当地みそまる」などを通して、食料自給率の向上にもつながると思います」

◎研究開発・新技術部門 最優秀賞
初期むし歯対策商品「POs-Ca」(ポスカ)
受賞者:江崎グリコ株式会社

むし歯対策と国産ジャガイモの消費拡大の双方に貢献する点が画期的です
むし歯対策と国産ジャガイモの消費拡大の双方に貢献する点が画期的です

北海道産ジャガイモに含まれる特殊な糖を利用して、むし歯予防のための特定保健用食品ガム「POs-Ca」を開発。ガムをおいしく食べて、歯の健康を保つという新しい歯のケア習慣を国内外に提案しています。これにより、国産ジャガイモの消費拡大にも貢献し、さらには膨大な歯科医療費の削減や災害時のオーラルケアに役立つなど、さまざまな観点から活用の場が広がっていきます。

江崎グリコの栗木取締役
江崎グリコの栗木取締役

<コメント>
「ジャガイモに含まれる糖を使って「リン酸化オリゴ糖カルシウム」という独自成分を開発しました。これからも世界一、歯によいガムをつくっていきたいと考えています」



交流会で各商品の試食とマッチングを

この交流会をきっかけに新たな連携が生まれるかもしれません
この交流会をきっかけに新たな連携が生まれるかもしれません

表彰式が終わると、次はホテルメトロポリタンの別会場で交流会が開催されました。
ここでは、今回のアワード受賞者・入賞者の商品を実際に試食・試飲できます。会場内にはさまざまな料理が美しく盛りつけられ、さながら立食パーティーのよう。皆さん、お皿を持って興味津々な様子で料理に手を伸ばしていました。
そして、いろいろ試食した後は、受賞者・入賞者同士のマッチングの場となります。生産者、流通、メーカーなどさまざまな立場の皆さんが、会場内のあちらこちらで談笑する姿がありました。

試食商品のなかから、いくつかご紹介します。

徹底的な栄養管理によって、良質な原料乳がないとつくることが難しいエメンタールタイプチーズの製造に成功しました
徹底的な栄養管理によって、良質な原料乳がないとつくることが難しいエメンタールタイプチーズの製造に成功しました

「商品部門(農林水産業分野)」優秀賞を受賞した有限会社冨田ファームの「国産エメンタールタイプチーズ」。
「原料に勝る技術なし」をモットーに、北海道で土づくり、草づくりにこだわった酪農をしているそうです。牛が食べる牧草は、一番状態がよい時期にまとめて刈り取って発酵貯蔵することで、年間を通して均一な飼料を与えられるため、チーズづくりに適した原料乳の安定生産に成功。良質な原料乳が必要なエメンタールタイプチーズを国内で唯一製造・販売しています。チーズフォンデュの材料としてよく使われますが、そのまま食べても濃厚な味わいです。

はだか麦は、香ばしさや食感を楽しみながら、健康食品としても注目されています
はだか麦は、香ばしさや食感を楽しみながら、健康食品としても注目されています

「商品部門(食品産業分野)」優秀賞を受賞した株式会社高畑精麦の「麦ごはん用シリーズ」。
香川県は大麦の産地で、この土地柄を強みに今まで麦焼酎や麦味噌の原料に使われてきた大麦の一種・はだか麦を主役とした商品開発に取り組み、おいしくて食物繊維が豊富なはだか麦による健康な食生活を提案しています。
はだか麦には「押麦」「丸麦」「玄麦」の3種類があり、チャーハンにしたり、スープに入れたり、料理によって使い分けるといいそうです。
今後は病院食に取り入れるなど、可能性が広がります。

もともと米粉などを扱う技術を応用して開発し、スープのとろみづけなどさまざまな食品に活用されています
もともと米粉などを扱う技術を応用して開発し、スープのとろみづけなどさまざまな食品に活用されています

「研究開発・新技術部門」優秀賞を受賞した、たかい食品株式会社、日本ハイドロパウテック株式会社、十勝清水町農業協同組合による「加水分解粉末」の開発。
新潟県産の米と、北海道産や茨城県産を中心とした規格外農産物の有効活用をめざして、独自技術で開発しました。原料を加水分解し、即座に乾燥・粉末化することで、深い旨みとともに、糖化や発酵工程を時間短縮させる効果があるそうです。即席麺、菓子、パンなどさまざまな食品に使用されており、酒類、味噌、醤油製造に応用可能な技術です。

展示場では受賞者・入賞者の取り組みをパネルで紹介

「全国のいろいろな取り組みを見てほしいです~」(こくさん)
「全国のいろいろな取り組みを見てほしいです~」(こくさん)

メトロポリタンプラザビル1階の自由通路では、消費者に向けた展示会も開催されていました。
今回のアワードの受賞者・入賞者すべての取り組みを来場者にじっくりと見てもらえるよう、パネルで紹介。会場入り口では『こくさん』が道行く皆さんに声をかけ、それに気づいて興味津々で入場する方々もたくさんいました。

国産農林水産物の消費拡大へ向けた高い意識を!

『フード・アクション・ニッポン アワード2015』を取材してみて、地元とそこで生産される食材に愛情を注ぎ、新しい視点で生み出したそれぞれの取り組みの素晴らしさに感動しました。
そして、受賞者の方々の努力と熱意がひしひしと伝わってきて、ここで評価された取り組みが今後もっともっと広がっていってほしいと思いました。

これらの取り組みを支えることは、私たち消費者にもできるはずです。たとえば、店頭で商品を見かけたら買ってみる、ここで知った取り組みについて周りの人にも伝えていくなど、私たちができることを実践していくことで、国産農林水産物の消費拡大へとつながっていくのではないでしょうか?

(Mogu・Maga編集部)