食べよう国産!はフード・アクション・ニッポンが運営しています。
logo_fan

おいしい国産情報が探せる・見つかる

日本の「おいしい!」をさまざまな切り口でお届けしていきます。

3月29日

「国産」に精通する4人のFANバサダーが順番に、おいしい国産情報を紹介しています。

有田産食材が持つポテンシャル

3月初め、「高良康之たからやすゆきシェフと行く有田ツアー」が開催された。
「銀座レカン」のシェフ高良氏が、有田産と佐賀県産の食材だけを駆使して、フランス料理を作り、それを有田焼の皿に盛るという一夜限りの饗宴きょうえんである。
当日の会場には、全国から参加したお客様に加え、野菜の生産者や窯元の職人も集まり、自分の作った野菜や作品がどのように昇華するのか、参加者は興奮気味に見守っている。
有田産のクレソン、菊芋、菜花、レッドキャベツ、金柑、有田鶏、有田豚、鯉に加え、佐賀県産の香菜と白アスパラ、有明海苔も使われる。
有田というと器が有名だが、実は多彩な野菜が作られており、質の高い豚や鶏も育てられている。金柑は、身が大きく、皮の歯切れが良くなおかつ甘い。
また、名水百選に選ばれている地であることも手伝い、ミネラル豊かな水で育てられた、鯉料理も有名である。
さてこれらの食材を使ってどんなフランス料理ができるのだろうか。

フランス料理を有田焼の器に盛る高良氏
フランス料理を有田焼の器に盛る高良氏

一皿目の「鯉の肝のリエット」
一皿目の「鯉の肝のリエット」

一皿目は「鯉の肝のリエット」である。煮詰めた赤ワインなどと合わせたリエットは、有田の鯉ならではの力強い肝の旨味と香りを漂わせて、これから始まる宴への期待を高めていく。

aritatour170324-img2
「ホワイトアスパラと菜花のクーリ」

続いて「ホワイトアスパラと菜花のクーリ」。
細くとも養分に富んだ佐賀県産の白アスパラガスに、自然農法で作られた菜花の濃い香りと味が加わり、目をつぶれば畑の中にいるかのようである。

aritatour170324-img3
「トマトとパクチーのスープ」

有田鶏の胸肉は、トマトとパクチーのスープとなって現れた。昨年、食トレンドのトップとなったのはパクチーだったが、実は、佐賀県がパクチーの名産地であることは余り知られていない。
そのパクチーと有田産の熟れたトマトに黒酢をかけて時間起き、鶏のスープと肉を合わせて卵でとじたものである。
パクチー自体に嫌なえぐみがないので、鶏の滋味じみとトマトの旨味うまみが溢れるスープの中で、香りが素直に広がってゆく。来場者、皆たまらずお代わりをしていた。

「鯉のポワレ赤ワインソース」
「鯉のポワレ赤ワインソース」

そして魚料理は、なんと「鯉のポワレ赤ワインソース」。高良シェフ曰く、「他の鯉とは、身質のキメや旨味が違う」というその鯉は、丹念に骨切りにされ食べればふわりと口の中で身を崩し、淡味(たんみ)に潜(ひそ)ませた滋味を滲ませる。
それらに赤ワイン3本半を注ぎ込んだというソースが艶を与え、バニラの香りを加えた、自然農法で作られた菊芋のエレガントな甘さが、華を添える。
品の良い甘みを持つ有田豚のフィレ肉は、21種のスパイスを練りこんで熟成させたバターと合わされて、旨味を膨らませる。

「有明生海苔とココナッツのシャーベット」
「有明生海苔とココナッツのシャーベット」

そして驚きは、有明生海苔とココナッツのシャーベットである。
海苔がシャーベットになるのか?と、疑問が湧いたがなかなかどうして、有明海苔の香りの高さがココナッツの柔らかい甘みと見事に合って、夢見心地に誘われるのである。
その他、地元の酒「宮の松」と金柑やパクチーを合わせて作った、カクテルも素敵だった。これもすべて食材の力強さがあってこその美味なのだろう。
来場者も、高良シェフの腕前だけでなく、有田産と佐賀県産の食材が持つポテンシャルの高さに目覚めさせられた夜だった。

高良康之たからやすゆきシェフ
1967年、東京都生まれ。将来はF-1車を作りたいという夢を抱いていたが、アルバイト先の喫茶店での調理体験をきっかけに料理に興味をもつ。ホテルメトロポリタンの洗い場からスタートし、日本のフレンチ界を牽引していたホテルオークラ出身の、「コーヒーショップ アイリス」浅野シェフと出会い、フランスへの夢が募る。1989年に渡仏して2年間修行。2ツ星「パン・アデュール・エ・ファンタジー(ランド地方)」では、自分の信念をつらぬきながらスタッフと家族同然の関係を築くシェフから多大な影響をうける。帰国後、「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」副料理長、「南部亭」料理長、上野「ブラッスリーレカン」料理長を経て、2007年「銀座レカン」料理長に就任し、伝統と“ヌーヴォー(今)”が息づくメニューに貢献。被災地を応援するチャリティーカレーを「シェ・イノ」「アピシウス」と定期的に共催している。

今月のFANバサダー
マッキー牧元

1955年東京出身。立教大学卒。
㈱味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。
年間600食ほど全国、海外を食べ歩き、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。
著書多数。最新刊は「出世酒場〜ビジネスの極意は酒場で盗め」集英社刊。